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家政婦に労働基準法が適用|家事使用人の雇用ガイドラインを解説

家政婦が家事業務を行う家庭でも、労働基準法やその他の関連法令が適用されることを理解しておかなければなりません。 本記事では、家事使用人の雇用ガイドラインについてご紹介していきます。    

 

家事使用人とは

家事使用人とは、家庭と直接労働契約を結び、家庭内で家事業務を行う人を指します。

掃除・料理・洗濯などの業務を行って、家庭の生活を支援します。

家事使用人に対しては労働基準法が適用されるため、適切な労働条件の整備が求められています。

詳しくは、厚生労働省による「家事使用人の雇用ガイドライン」をご確認ください。

  ※参照:厚生労働省「家事使用人の雇用ガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/content/001206361.pdf    

 

家事使用人の雇用ガイドラインの目的

これまで家事使用人には、労働契約法が適用されていたものの、労働基準法は適用除外とされていました。

そのため業務内容・就業時間の不明確さが生じており、契約トラブルや就業中のケガに対する補償が不足しているなどのさまざまな問題が生じています。

しかし、厚生労働省は、家事使用人を「労働者」として保護するために、労働基準法を適用する方向で同法の改正に向けた調整に入りました。

この改正は、労働条件の不明確さや、労働災害の対象外とされていた問題点を改善することを目的としています。

このガイドラインは、そんな家事使用人の労働条件を明確にし、適正な就業環境を整えることを目的として作成されました。  

 

ガイドラインの対象者

ガイドラインの対象者は以下の3者です。  

 

雇用主(ご家庭)

家事使用人を雇用する・雇用を検討しているご家庭です。 家政婦に対し適正な労働条件を提供します。  

 

家政婦(夫)紹介所

家事使用人・雇用主の間で労働契約をあっせんする機関です。 適切な情報提供と紹介の手続きを行います。  

 

家政婦(夫)

ご家庭と直接労働契約を結び、家事全般に従事する方です。 自らの労働条件・権利を理解し、適切に働くことが求められます。  

 

家政婦に適用される労働関係等法令

現在の雇用主(ご家庭)や家事使用人には、一般の労働者と同じように、労働契約法・職業 安定法・労働者災害補償保険法の一部(労災保険の特別加入に関する部分)などが適用されています。

たとえば家事使用人と労働契約を結ぶ際には、労働契約法を守る必要があり、雇用主は「使用者」として家事使用人への安全配慮など、適切な雇用管理を行うことが求められます。

一方、一般の労働者に適用されている労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などは家事使用人には適用されていません。

しかし家事使用人が働きやすい環境を確保するため、これらの法律の水準を下回らないように注意しなければなりません。    

 

家政婦を雇用する際の注意事項

家政婦を雇用する際の注意事項をご紹介します。  

 

労働条件を明確にしましょう

家政婦を雇用する際には、労働条件を明確にすることが大切です。

雇用主の情報・業務を行う場所・契約期間・試用期間・仕事内容・勤務時間・休憩時間・給与・退職条件・休日など、それぞれのポイントを含め、契約内容をきちんと取り決めるようにしましょう。

 

適正な労働条件を設定しましょう

家政婦を雇う際には、適切な労働条件の設定が重要です。

報酬は最低賃金を下回らずに、仕事内容や能力に応じて適正な額を設定しましょう。

また就業時間は過度になり過ぎないよう配慮し、理想としては、1日8時間、週40時間に収めるようにしましょう。

有期契約の場合、基本的には3年以内で60歳以上であれば5年以内が望ましいと言えます。  

 

就業環境を整備しましょう

家政婦を雇う際は安心して働ける就業環境を整えることが大切です。

雇用主は労働契約前後に、就業時間・場所の管理・業務量の適正化・休憩の確保などのポイントについて話し合い、家事使用人が不安を感じないように配慮しなければなりません。

また家事使用人からの相談・苦情に対応する担当者を明確にしておき、問題解決を迅速に行えるような体制も整えておきましょう。  

 

労働契約の更新・終了時の対応方法

労働契約の更新・終了時の対応方法をご紹介します。  

 

労働契約の更新

家事使用人を有期労働契約で雇う場合、契約が自動更新されない限り契約期間が終了となり、基本的には契約も終了となります。

しかし契約期間が5年以上という場合、家事使用人が希望すれば無期労働契約に変更することができます。

家事使用人が無期転換を希望した場合、雇用主はその申込みを拒否することができません。

このルールを理解して、適切に対応する準備をしておくことが大切です。  

 

労働契約の終了

家事使用人に対して解雇・契約終了を決定する場合、まずは十分に話し合いを行うようにし、円満に解決するよう努めなければなりません。

解雇・雇止めを行う場合、家事使用人が突然困らないように配慮し、理由を説明して納得してもらうようにしましょう。    

 

保険の加入状況の確認は忘れずに

家事使用人に関する保険には2種類があります。 雇用主は家事使用人や紹介所にどの保険に加入しているのかを確認しておきましょう。

事前に確認をとっておくことで、万が一の事態が起きてもそなえることができます。  

 

損害保険

家事使用人が勤務中に家庭内や第三者に損害を与えた際にカバーできる保険。  

 

災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)

家事使用人が業務中にケガや病気になった場合の保険。    

 

おわりに

本記事では、家事使用人の雇用ガイドラインについてご紹介しました。

雇用条件などを話し合う際には口頭だけでなく、書面・メールなどでしっかり記録しておき、お互いに確認し合うようにし、トラブルを防止するよう努めましょう。  

 

 

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